無添加ワインと自然派ワイン2007年05月05日 14時32分01秒

最近「無添加ワイン」という表記がスーパーや酒屋で目立つ。
無添加とは、酸化防止剤の亜硫酸が添加されていないワインで、健康志向の強い日本人にとっては魅力的な文言だ。
以前、「買ってはいけない」という本の中に「亜硫酸ガス入りワインにご用心!」という文章があった。「無添加」=「おいしい」「健康にいい」と日本人は錯覚しがち。

古代ローマの時代から、微生物汚染を防ぐ目的で硫黄燻蒸が行われていた。今日、ワインの醸造工程のすべてで亜硫酸が使われ、不可欠とも言える重要な添加剤になっている。

まず亜硫酸は、収穫したブドウを運ぶ間の微生物汚染防止と、ブドウの破砕搾汁工程で果皮に付着したさまざまな微生物を殺菌淘汰する役割を担う。
この時添加された亜硫酸は、果汁中の酸素などの成分と反応して減少していく。瓶詰時に残っていたものも、ワイン中の残存酸素などと反応してさらに減少し、びんの中で熟成したワインでは限りなくゼロに近いものになる。

また、発酵を引き起こすワイン酵母自身が、発酵中に微量の亜硫酸をつくり出す。だから亜硫酸無添加でワインを造ったとしても、ワイン中の亜硫酸が完全にゼロになるとは限らない。

この亜硫酸が持つ酸化防止作用が、ワインの質に害を及ぼす過激な酸化を防ぎ、望ましい緩やかな酸化を可能にしているため、長期熟成を要する高級ワインにはなくてはならないもの。

それに、無添加ワインは長持ちしない。1、2年で飲まないと劣化してしまうし、保存や流通で厄介な問題を引き起こす。

最近、フランスでは自然派ワイン(ビオワイン)がブームになっている。
これは農薬を使いすぎ、痩せてしまった土地を改善して良いブドウを造ろうという観点から始まった考え方。人体に良いワインとは発想が違う。
ブドウ栽培時の有機農法、醸造過程で亜硫酸を使用しない、酵母が残留したままなどの徹底した添加物排除というポリシーのもとに作られている。こちらの方がまさに無添加ワインという定義に近い。

そのため、自然派ワインはさらにデリケート。18℃以上では再発酵が始まり品質変化してしまう。
それに自然派ワインは独特の「臭い」がする。好き嫌いがはっきり分かれる臭い。臭いチーズが嫌いな人は飲めないかもしれない。

よくスーパーや安売り酒屋では「無添加ワイン」を常温で保存している光景を目にする。また無添加ワインは自然派ワインのような臭いがしない。本当にすべての醸造過程で無添加なのか?と思ってしまう。

以前は経費削減のため、流通中の高温の中でも品質変化させないように大量の添加物をしていたワインもあった。飲んでいて頭痛がするワインはまさにそれ。日本でのワインに対する理解も進み、さすがにそのようなワインは少なくなったと思う。

そもそも、健康になろうと思ってワインを飲む人は少ないと思う。
ポリフェノールが体に良いということで買い漁っていたオバサン達もいるかもしれないが、アルコールが12~15%も入っているのだがら体に良い訳は無いだろうに。

やはり私は、無添加ワインより自然派ワインを飲みたいと思う。
しかし、なぜ日本の無添加ワインは甘口が多いのだろうか?まだ「赤玉パ○チ」の影響が残っているのか?

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